事務所を移転しました

10月から渋谷区千駄ヶ谷に事務所機能を移転しました。
https://nasbi.jp/about

これまで事務所機能は菅沼の自宅に置き、作業自体は完全リモートで各自の自宅から作業していましたが、主に下記3点の理由によりちゃんと事務所を構えることにしました。

  • 営業が安定してきた
  • 集まって仕事をすることで得られる知識もある
  • 信頼度アップ

これからもリモートで仕事してたりすることも多くあるとは思いますが、基本的に余裕のある日は出社して、パツってるときは自宅作業という分け方になるんじゃないかなと思っています。

業務自体はこれまでと何ら変わりませんので、関係者様に於かれましては、引き続きよろしくお願いいたします。

HTMLの文字コードをどうするべきか、あるいはHTMLとは何かという話

HTML文書は文字エンコーディングUTF-8でなければなりませんという記事があり、混乱があるようなのでHTMLについてHTML5とHTML Living Standard(以下HTML LSと省略)について、そしてHTMLファイルの文字コードをどうするかについて、まとめておきます。

TL;DR

  • HTMLファイルの文字コードはHTML Living Standardに従ってUTF-8にする
  • 古いSJISやEUC-JPのHTMLファイルをUTF-8に変換する必要はない

What is "HTML" ?

一般にHTMLと呼ばれる規格には複数あります。

  • HTML4.01を含むそれ以前のHTML (W3C)
  • XHTML1.1 (W3C)
  • HTML5.1 (W3C)
  • HTML Living Standard (WHATWG)

まず一旦古い話は置いておいて、HTML5とHTML LSについて考えることにします。 以下「HTML5」は特筆なき場合「W3Cの勧告したHTML5.1」の意味です。また、HTML5の日本語訳へのリンク先は5.0の文書ですのでご注意下さい。

HTML5(W3C) とHTML LS(WHATWG)の違い

HTML5とHTML LSは基本的には違いはありません。
1.2 Is this HTML5? - HTML Living Standard1.2 これはHTML5か? ― HTML Living Standard 日本語訳
にあるようにWHATWGの策定したHTML LSに基いてW3CがHTML5として勧告を出しています。

そもそもWHATWGはW3CがHTMLをアップデートしないのに業を煮やしたAppleやMozilla、Operaによって設立されました。それを後にW3Cが取り込んだのが規格としてのHTML5となります。
経緯は1.6 歴史 ― HTML Living Standardを参照するのが良いでしょう。

W3CとWHATWGのどちらに従うべきか

ブラウザの実装による、と言ってしまえばそれまでですが、基本的にHTML Living Standardを守れば良いです。ブラウザの実装もこれに則っています。またW3CではHTML LSに基いているだけで、全く同一ではありません。また、標準化のタイミングも異なります。

  1. HTML LSで標準化済みで、HTML5で勧告済み(多くの基本的な内容)
  2. HTML LSで標準化済みだが、W3Cでは未勧告(最新の内容)
  3. HTML LSで標準化済みだが、W3Cでは違いがある(一部の内容)

という3つのパターンがありえます。

3.については1.12 About this document - HTML5.1に列挙されています。

やっと文字コードの話

再掲になりますがHTML文書は文字エンコーディングUTF-8でなければなりませんの文字エンコーディングの話は

  • WHATWGでHTML Living Standardの話
  • W3Cでは未勧告(まだissueが切られただけ)

となります。
つまり、HTML4.01やXHTMLは関係がないので、古いサイトの文字コードをUTF-8に変換する必要はありません。
BOMについては、UTF-8についてはBOMをつけることが許可されているので、つけても良いですが、つけなくて良いでしょう。<meta charset="utf-8">のようにmetaタグで文字コードを指定することも禁止されていません。(が、当然ファイルそのものの文字コードと一致する必要があります。)

逆に他のSJISやUTF-16などの文字コードが利用できないかについては、HTML LSでは

the actual character encoding used to encode the document must be UTF-8.

4.2.5.5 Specifying the document's character encoding - HTML Living Standard

とあり、一方HTML5の現状では

Authors should use UTF-8. Conformance checkers may advise authors against using legacy encodings.
(中略)
Authors must not use encodings that are not defined in the WHATWG Encoding standard. Additionally, authors should not use ISO-2022-JP.

4.2.5.5 Specifying the document's character encoding - HTML5.1

と微妙に差異があります。が、これに逆らってUTF-8以外を選択するメリットは殆どないでしょう。

おわりに

Web開発者であれば、WHATWGとW3Cの文章に目を通すようにしましょう。

スマートにiPhoneXの対応のためのpaddingを設定する

iPhoneXには、画面上部にセンサーや前面カメラが仕込まれているディスプレイの切り欠きがあります。

safariではviewportを下記のように指定することで、横持ちした際にこの切り欠きの周りまでレンダリング領域とすることができます。

<meta name="viewport" content="viewport-fit=cover">

この指定をすると、ディスプレイ全体に背景色等を引き伸ばせるため、より一体感のあるデザインにすることができるのですが、切り欠き部分がコンテンツと重なってしまうことが起こり得るため、CSS定数を使ってpadding等を余分に持たせてあげることで、これを回避してあげる必要があります。

設定できるCSS定数は以下の通り

constant(safe-area-inset-top)
constant(safe-area-inset-right)
constant(safe-area-inset-bottom)
constant(safe-area-inset-left)

しかし、このCSS定数で使われる constant 関数ですが、他のブラウザでは一切実装されていない機能になります。
そのため、既にpaddingが設定されている要素にcalc等を使って切り欠き分をプラスしてあげる方法だと、構文解釈ができずにpaddingが未設定とされてしまいます。
とはいえわざわざiPhoneXのために新しい要素で囲ってあげるのもバカらしい…。

そんなときは下記の様に同じセレクタ内でpaddingを複数記述するとスマートに解決することができます。

.container {
	padding: 10px 20px;
	padding-right: calc(20px + constant(safe-area-inset-right)); // for iPhone X
	padding-left: calc(20px + constant(safe-area-inset-left)); // for iPhone X
}

safariでは padding-rightpadding-left を上書きするように後述しているので、切り欠き分も余分に余白が適用されますが、それ以外のブラウザでは constant を使っている行は解釈されないので1行目のみ適用されます。

要は記述順が重要で、ベンダープレフィックスのような用法で使ってあげればよいのです。